2.3 MSX turbo R のスロット構成  ここでは、新しく発表された、MSX turbo R のスロット構成について解説する。特筆すべきは、ここにきて、やっとのことで、スロット構成が統一されたことだ。これは、なんとも意義深いことだ。 2.3.1 ついにスロット構成が統一されたぞ  図2.8が、turbo R のスロット構成だ。CPUの高速化に対応し、アプリケーションプログラムの開発やデバックを容易にするために、スロット構成が統一された。  この図では、スロット3-0に64キロバイトのRAMがあるように見えるけど、実際にはメモリーマッパーえおとおして、256キロバイトのメインRAMが接続されている。このうち64キロバイトを超える場合は、日本語MSX-DOS2のワークエリアやRAMディスク、べつの章で説明する"DRAMモード"などに、通常は使われる。でも、アプリケーションプログラムが拡張 BIOS を使ってマッパーを切り替え、これらのRAMを使うことも可能だ。  また、スロット3-2のページ1にはDOSのシステムROMが収められている。といっても、ここには16キロバイトのDOS1(MSX-DOS)のROMと、48キロバイトのDOS2のROMが接続されていて、必要に応じて自動的に切り替えられているようになっている。  標準化されたこのスロット構成の最大の利点は、DOSのプログラムが普通の方法でサブROMをインタースロットコールできること。DOSの割り込み処理プログラムをどの番地に置いてもよいことだ。昔のMマガで紹介したことがあるのだけれど、拡張されたスロット0にRAMとサブROMがあった場合は、MSX-DOSのインタースロットコール機能と、割り込み処理プログラムが暴走する可能性があった。しかし turbo R では、拡張されたスロット3にRAMとサブROMがあるので、このような問題が起こらないわけだ。  また、OPLLドライバー。つまりFM-BIOSのROMは、かならずスロット0-2に配置されている。そのため turbo R 専用ソフトウェアは、FM-BIOSがあるスロットを探す手段を省略してもいい。  このほか、スロット構成が統一されたことによる利点の特徴の例として、"コナミの10倍カートリッジ"があげられる。これはスロット1に10倍カートリッジを、スロット2にゲームカートリッジをセットして使う必要があったもので、一部のMSX1とMSX2マシンでは動作しなかった。ところが、MSX2+とturbo Rでは、外部スロットがスロット1と2に決められたので、こうした特殊プログラムも、簡単にかつ確実にできるよな環境が整ったわけだ。 【図2.8:MSX turbo R のスロット構成】  またソフトウェアにとっては、スロット構成が統一されたために、特定のスロット構成で発生するバグに悩まされることが減るのが、最大の利点といえる。ソフトウェアを作る立場からすると、CPUの高速化やRAM容量が増設されたことよりも、スロットの構成の統一のほうがはるかにウレシイのだ。turbo R 万歳!